すっかり御無沙汰

約3カ月にも亘り、自らのブログ更新を御ざなりにしていたのには理由がある。
じつは小生、このたびレッスン本を出版できることと相成った。発売開始は、再来月は9月の頭で御座る。
日本経済新聞出版社からの発刊で、バタバタとしていたが、だいぶ落ち着いてきた感じ。特にゲラと呼ばれる全文のチェック作業は大変でした。一冊の本を何回も読み返すに近い作業だったからである。
出版社の編集者は、毎日のようにこういった作業をしているのかと思えば、彼らの御苦労をしのぶばかり。あらためて出版物を作成される編集者の皆さんに感謝の気持ちが湧きあがった。
みなさんには不思議に感じられることかもしれないが、小生、ジャーナリストの方々や、編集者の方々、および執筆活動等に勤しまれている方々の友人が多い。いずれも自分がツアー転戦中に知り合った方々だが、だからと言って小生以外のプロゴルファーが皆、そういった方との交流があるかと言えば決してそんなことはない。その理由の最たるものは、小生が長年、高橋勝成プロと一緒にツアー転戦を行っていたからだと言えるだろう。勝成さんは、当時から、ことのほかメディア関係の方々との交流を大切にし、その勝成さんと同行していた小生も、同様に彼らとの交流を結べたという次第があった。ゆくゆく小生の場合、交流というよりも交遊になってしまい(笑)それがいまだに続いているわけである。
だが、そもそも彼らとの出会いを作ってくれたのは勝成さんだ。振り返ってみれば、高橋勝成プロには感謝の言葉しかない。

高橋勝成、懐かしい名前である。かつて『マッチプレーの鬼』とも呼ばれた名プレーヤー。アマチュアゴルファーでも壮年期を越える方なら、勝成さんの名前を知らない人などいないだろう。
勝成さんからは技術的なことは何も教えて貰えなかったが、ツアーでの戦い方や練習ラウンドの仕方、ツアー開場への移動から宿泊先をどのように選択するかなど、本当に多くのことを教えて頂いた。小生のゴルフ人生に於ける恩人とも言える存在である。
優しい笑顔が印象的な人だが、ことゴルフに対しては本当に鬼のような人だった。ここまで練習するか!?というほどの練習の虫で、その姿は丸で、自分自身を自信の塊に変えたいかのような鬼気迫るものがあった。松山英樹くんも練習の虫と聞くが、松山くん曰く「安心したいから練習するんです」だが、勝成さんの場合、松山くんのそれとは違うように思う。追い込み方が尋常ではなかった。練習に没頭する勝成さんは、プロの小生の眼から見ても「人」には見えなかった。
『努力と自信』という言葉を勝成さんは好み、ファンからサインを求められれば必ず、この言葉を添え書きとし、またこれも必ずだが、サインをした色紙を御返しするとき「ありがとう御座います」と笑顔で微笑んだ。誰よりもファンを大切にするプロゴルファーである。
かつて、勝成さんから「ゴウちゃんは失敗を悔やみ過ぎたり自分を卑下し過ぎたりするところがある。自分のことだけは褒めて讃えて伸ばさなければダメなんだよ。上手くいったら、俺ってスゲェ~ってふうにね」と度々言われたが、小生自身、情けない自分のゴルフをそんなふうに考えることだけは出来なかったのが悔やまれる。

高橋勝成。マッチプレーの鬼は、己に優しく己に厳しい人である。

 

 

左腕の動き

たまにはレッスン物を書かないと、ということで、書く。
題名にある「左腕の動き」を文章にて詳細に述べれば少々難しくなるのだが、大切な話である。出来るだけ簡潔に参る。

ゴルフクラブをスゥイング軸に対してターンさせていくという考え方は極めて重要だ。無論、軸は、身体に存在させるべきものである。
先ず『背骨』。上半身を主体に捉えると『背骨』となる。これは余りにも周知の軸。ゴルフ歴がある人なら誰でも知っていることだろう。そして次に、下半身を主体に捉えた場合の『右股関節』。これが二つ目だ。無論、右打ちの場合だ。左打ちは、逆。
そして三つ目となるものは、腕を主体として捉えた場合の『左腕』である。両腕は、人間の骨格を踏まえたとき、これもまた背骨を軸としたターンが起こるが、ゴルフスウィングそのものにクラブフェースのターンが僅かにでも起これば、左腕を軸線としたゴルフクラブのターンは必須となる。この振り抜きの動作については「回外と外旋」という言葉で表すのが的確だろう。
結論としてゴルフスゥイングは、上記の「三つの軸」が関連し合うことに因って成り立っている身体運動だと言える。

さて、先ずは「回外」という動作。医学用語である。紐解く。

回外:前腕軸を中心にして、手掌を上に向ける運動
回内:前腕軸を中心にして、手掌を下に向ける運動

上記は肘関節の動作であるが、主題が「左腕の動き」である以上、肩関節の動き「外旋および内旋」の説明も必要だ。

外旋:体の前方に向かうある部分を外方へ向ける運動。
内旋:体の前方に向かうある部分を内方へ向ける運動。

肩関節の外旋運動の場合、肘を屈曲して前方に伸ばした前腕を外方へ移動する動作をイメージすると分かり易いだろう。
さて、いよいよ小難しくなりつつあるので、ここでゴルフスゥイングに於ける「左腕が軸となるゴルフクラブのターン」を身体動作の観点から端的に述べてみる。

『左腕は、テークバックでは出来るだけ回内運動を行わず、振り抜きで回外運動と外旋運動が複合的に作用される』、となる。

上記が『左腕』を軸としたゴルフクラブのターンの要諦。
これは今から10年以上も前に、私がツアー転戦をするなかで得るに至ったスゥイング軸の概念の一つである。
当然のことながらだが、だからと言って、この論理だけをアマチュアの方にレクチャーすることが私のレッスンなどではない。上記の言葉を幾ら簡潔に話しても多くのアマチュアの方には面白くもなんともない話だし、幾ら動作の説明を繰り返しても多くのアマチュアの方には何の意味をさえ持たない話だろう。
私自身、何度か雑誌や新聞の記事に紹介して来たし、過去にブログなどにも書いて来た話でもあるが、実際のレッスンでは、スゥイング軸を含めた様々な概念を下地として、アマチュアの方が吸収し易い話でのレクチャーをと心がけている。

 

 

マスターズウィーク到来

桜も開花を遂げ、すっかり春めいている。さて、今年もマスターズウイークが近づいて来た。
昨今の日本ではマスターズの開幕と共にゴルフシーズンに突入という雰囲気がある。

1978年から、マスターズトーナメントだけはTVに噛り付いて観戦し続けてきた私だが、東京にスタジオをオープンしてからは、その楽しみは見事に奪われている。それは、会社で借りた東京の社宅の部屋にTVを設置していないからだ。
一年のうち約350日をスタジオに詰め、経営を軌道に載せようと頑張っているなかで、TVを観る時間などは惜しいという観点から、TVの無い部屋での暮らしが既に2年以上も経過した。。。時代錯誤も甚だしい話。誰が聞いても「時代錯誤」だと誹るだろうが、ここにきて、ちょっと頑張り過ぎた感は否めない。流石に疲れたきた自分を実感する今日この頃でもある。
しかし、そんな牢屋に入れられているような生活にあっても、世界のゴルフトーナメントには注目していて、ネットの情報を頼りに、その情勢は逐一仕入れるようにしている。それは、トーナメントプロたる自分を維持するためかもしれません。

さて今年のマスターズ。期待は、松山英樹の活躍である。
日本のみならず、世界中のゴルファーが松山英樹に注目しているのが今年のマスターズトーナメント。
待ち遠しかったこと、この上なしだ。今年は誰が勝つのか。

春の夢の祭典。開幕まで、あと僅かである。

 

 

龍ヶ崎カントリー倶楽部 10番ホール

龍ヶ崎カントリー俱楽部で開催を予定していた2014年度(第47回)日本女子オープンゴルフ選手権が、急きょ琵琶湖カントリー倶楽部に変更になったことを知っている人は多いと思う。
巷に流布される話は様々だが、私の場合、正確な全ての経緯を知ってはいる。しかし、敢えて此処にクダクダと述べる必要はないだろう。何故なら、それは、もう過去のことだからだ。

さて、その経緯に至った「問題のホール」が、この10番ミドルホール。龍ヶ崎カントリー倶楽部が日本全国に誇るべきホールの一つであり、龍ヶ崎カントリー俱楽部を名コースたらしめているホールの一つでもある。
設計者である井上先生の、このホールを語るに「ティーショットはドローで攻め、2ndショットはフェードで攻める以外に、このホールを攻略する術は無い」と言ったことでも明らかなように、左サイドの丘状になった林と、矢張り右サイドの丘状になった林を縫うようにS字状にカーブしたフェアウェイが、強烈なアンジュレーションを持つ砲台グリーンへと続いていく。最大の特徴は「バンカーが一つも無いホール」にも関わらず、非常に難易度が高いという点だ。
そもそも龍ヶ崎カントリー俱楽部には120個ものバンカーが配置されているが、この10番ホールには一つも無い。
言い添えれば、120個というバンカー数は多い個数だが、17H中に120個が存在するわけだから、龍ヶ崎カントリー俱楽部が如何に「巧みにバンカーが配されたコース」であるかが伺える。

2017/ 2/15  9:35
2017/ 2/15 9:35

さてさて10番ホール。このホールの特徴を述べるに、メイングリーン(Oグリーン=右グリーン)の攻略を語らずにはおけない。
フルバック(黒ティ=419Y)から、グリーン中央より150Y地点までの距離は265Y。ティショットは、だいぶ打ち下ろしていくホールなので感覚的には250Yを打てば、ピンまで150Yの地点を確保できる。この地点を確保すれば、グリーン方向は概ねクリア。
つまり、2ndを打つ距離を150Y以下に出来れば、バーディを狙うことも充分に可能なホールになるということ。
また、ピンまで100Yの地点では、樹木はおろかバンカーさえ介在しないオールクリアのロケーションが眼前に展開する。
ここでの問題は、やや右に傾いた高めの砲台グリーンに打ち上げていかなければならないプレッシャーや、傾斜が強く複雑なアンジュレーションを持つグリーン面に穿たれたカップを狙い易いボールポジションの確保に悩まされるなどの点が挙げられる。
ピンポジションは総じて右端が難しく、特に右奥一杯にピンが切られたときには、まるで将棋の穴熊戦法を彷彿させる難攻の光景が写し出されるが、10番グリーンと8番ホールを隔てている樹木の枝葉模様が、このピンポジションであるときのグリーンの景観を美しくも彩ってくれている。ここは7番Hグリーン左奥のピン位置と併せて、龍ヶ崎カントリー俱楽部のパワースポットでもある。
じつを言うとコースが造られる前、この10番Hグリーン奥=11番Hフルバックティ左=7番Hサブグリーン右=8番Hティグランド右の場所には、古くからの街道に面した稲荷神社があった。コースが造られたとき10番Hティグランド後方に御移転いただいたが、そもそもが神域であった地帯であったことにも由来しているかもしれない。この地帯には少々ならずとも清浄な空気の流れを感じ取れる。
余談だが龍ヶ崎カントリー俱楽部に訪れた折には、ぜひ、10番ティグランド後方に御鎮座される稲荷神社への御参拝を御薦めしたい。

2017/ 2/15  9:49
2017/ 2/15 9:49

さて、この10番ホール左サイドの樹木群は度々であるが、いわゆる「空中ハザード」だとする向きがある。
しかし私は、斯様には微塵も思ってはいない。
何故なら、ティショットに於ける10番ホール左サイドに林立する樹木の殆どは、プレーヤーのレベルに応じたクロス(交差)したハザードに近い性質を持っているからだ。それは、ティグランドからはクロスバンカー然りのハザードだと言えて、勇気を持って越えていくを狙うべきハザードだと言える。
もし、クロスバンカー(越えていくべきバンカー)をアンフェアなハザードだと言うのなら、確かに龍ヶ崎カントリー俱楽部10番ホールの樹木はアンフェア極まりない障害物だと言える。しかし、だとすれば、如何なるコースの如何なるホール内に介在しているハザードは全て、そのコース内に在ってはならないものとなってしまう。
また、設計者である井上先生が、年月を経ることに因る樹木の生長度合いを考慮していなかったのではないか? という向きもあるが、それこそ愚問の最たるものではないかと考える。井上先生の叡智をナメて貰っては困るのだ。少し論点がズレるかもしれないが、開場当時から道具の進化著しい昨今、特にボールの進化は「コースの短尺化」にさえ繋がっている現在である。これを以ってしても、愚問であることを認められないなどとは言わせない。

2017/ 2/15  9:35
2017/ 2/15 9:35

龍ヶ崎カントリー俱楽部10番ホールのフルバックティからメイングリーン中央を直線で結んだとき、実際には400Yに満たない距離であることを知るだろう。しかもティショットが打ち下ろしのホールである。決して長いホールではないのだ。
また前述した通り、フルバックティからでも260Yを打てれば、左サイドの樹木の殆どは越えることが出来るし、それがフロントティともなれば210Yのキャリーボールをさえ放てば、左サイドに林立する全ての樹木を越えることも出来る。

問題は、自分が「どのあたりを越すことが出来るのか」という判断力と、眼前に迫る樹木群を前にして、自分のベストスイングを行うことが出来なくなってしまう点。すなわち、龍ヶ崎カントリー俱楽部10番ホール左サイドの林は、空中ハザードなどでは決してなく、じつは『メンタルハザード』の性質を持った樹木群なのである。

 

 

ウェッジの選び方

先日、週刊ゴルフダイジェストの取材で、ウェッジの試打をしてコメントを述べるという仕事があった。
何十本ものウェッジを試打するのだが、打っていて、さて、このクラブ達の機能を、打ちながら実感できるプレーヤーが何人いるのだろうか? という疑問を持った。ウェッジに限らずゴルフクラブは、いま打った感覚が全てとは言えない。暫く使ってみて漸く、そのクラブの良さが分かって来たりするのがウェッジだったりもするからだ。
因みに私は、ウェッジに関してのみ言えば、単に試打でコメントが出来るプロゴルファーとは別格で、それは以前、ウェッジの製造販売の仕事をしていたなか、勿論、ウェッジの機能に於ける設計監修までをも手掛けていたからである。無論、クラブ設計のエキスパートと組んでの綿密なディスカッションを通じ、当時をして、伝説とまで呼ばれたウェッジを制作することが出来た。
つまり、自分で言うのも何だが、ことウェッジを見る眼に関しての私は、他のプロゴルファーの追随を許さないのである。

さて、ウェッジ選びでアマチュアゴルファーが大切にすべきポイントは、先ず第一に『顔』=フェース形状である。
これはプロゴルファーにとっても重要な要素で、ただしプロを含む上級者の場合、『顔』を形成するにあたるリーディングエッジからネックまでの流れを更に重要視することで、あらゆるライでの打球イメージを明確に映し出すことが出来るようにもなる。それが何故重要かと言えば、ウェッジは他のクラブに比べて遥かに、フェース面を極端に開いたりする場面がプレーのなかに多く現れるからだ。無論、立ち上がり部分の形状や厚み、更に言えば研磨具合、また、面取りなども重要だが、一般には『顔』という表現で包括できるだろう。
人間は感覚の生き物であるが故に、この『顔』が醸し出すイメージはウェッジ選びに欠かせない要素だと言える。

そして次に、上記『顔』選びに平衡して選ばなけらばならないポイントが、ソールの『バンスの高さ』である。
断っておくが、バンス角ではない。フェース面をスクエアにシャフトを垂直に立てたときの、リーディングエッジからバンスの頂点までの高さが、バンス高である。ウェッジは用途に応じて、このバンス高をこそ吟味する必要があるのだ。
ロフト角と一緒に刻印されているバンス角の表示は一つの目安にはなるが、実際に使われるソール面の幅などで、この『バンスの高さ』は幾らでも変わってしまう。同じバンス角でも、バンスの高さが変われば、機能そのものが違ったものになる。
ウェッジの機能に於いて最も重要だと言えるソールは、本当は、その形状(1)と、実際に使われる面の面積、そして『バンスの高さ』で選ばれるべきものである。
バンス高の何たるかを知らない人間は、ウェッジのソールを語ることなかれ。だいたい、メーカーが表示するバンス角だってイイ加減極まりないのが実状でもある。

些かならずとも難解な話になったが、ウェッジ選びに限らず、クラブ選びを語れば、一般ユーザーには難解な話になってしまうのは、ある意味、然りだと言える。優しく詳しい話を聞きたければ、私のところへ来て貰うしかない。
最後に、ウェッジ選びにあたる要点。上記に『形状(1)』と記した要点を、なるべく簡潔に述べる。

☆ソール形状は、ヒール側とトウ側のソール幅を見て、トウ側が広くなり過ぎていないものを選べば、そうそうハズレは無い。

総じてソール形状は、ヒール側が狭くトウ側が広いものが多いが、巷に繁茂するが如きウェッジのなかにも、上記☆の如く設計されたものが必ず存在する。代表格は、キャスコのドルフィンウェッジ、ボーケイのアメリカモデル、クリーブランドの松山英樹モデルなどが、それに値するし、先般見かけたヤマハのウェッジも好いものだった。

奇をてらっただけで、意図された機能も糞もないウェッジを作って実しやかに販売しているメーカーは腐るほどある。
騙されることなく、ちゃんとしたコンセプトに基づいた設計が施されたウェッジを手にしたとき、あなたのショートゲームは確実に進歩を遂げるだろう。それほど、ウェッジ選びは重要なのである。

 

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松山英樹は凄いヤツ。

ときどき聞かれる。「松山英樹と石川遼は、どちらが凄いの?」

私の見解を述べれば、そもそもどちらも天才的な素質を持ってはいたが、その天才性に関して言えば石川遼のほうが上だったように思う。高校時代の松山英樹が、ここまで活躍するプレーヤーに成長すると誰が予測し得たであろうか。
天才的なゴルファーは毎年のように台頭して来るし、丸山茂樹や池田勇太なども天才プレーヤーの一人。旧くは川岸良兼、もう少し旧くは現PGA会長の倉本昌弘さんも天才的素質を持っていた。
無論、天才にも色々と居て、凄い天才から底々天才、ショットの天才やパットの天才なんてのも居るはず。そんな歴史上の天才達と比べても、石川遼は間違いなく『逸材』と呼べる天才だったし、その素質の高さは他の追随を許さない。

しかし現在、石川くんにとって松山くんは、余りにも遠い「高みを歩む存在」だ。石川くん自身が、そう感じているはず。
松山くんは既に日本のゴルフ史上、最も優れたプレーヤーなのだ。
齢20台半ばにして、既に、である。しかも、この成長は今後も暫く続いていく。暫くは松山英樹が歩む後ろ姿を、今後に台頭する日本人プレーヤーは視界に入れることさえ出来ないだろう。
それほど松山英樹は、これまでの日本人プレーヤーが羨望の眼でしか見ることが叶わなかった「高み」を歩んでいる。

そんなスーパープレーヤーを誰と比べることが出来るだろう。
ローリー・マキロイ、ジョーダン・スピース、ジャスティン・トーマス、ヒデキ・マツヤマ。この4人は、今期のUSPGAツアーのイチオシの存在。ステージが違い過ぎるのだ。

つまり、松山英樹は別格なのである。

 

 

My師匠

私に限らず、プロゴルファーには必ず『師匠』が存在している。
恐らく、プロゴルファーに限らずアマチュアでも、上級者であればあるほど必ず『師匠』と呼べる人間が存在するだろう。
無論これは、ゴルフに限らず、あらゆるスポーツの世界でも然り。
否、スポーツの世界ばかりでは無いはずだ。

唯一私が「プロ」という代名詞で呼んでいる人物は、宮本忠男を置いて他には居ない。宮本忠男は、かつての龍ヶ崎カントリー俱楽部の所属プロであり、高校を卒業して龍ヶ崎カントリー俱楽部にアシスタントプロとして入社した私を、徒弟制度的な観点から徹底的に鍛えたプロゴルファーであり、私の最も敬愛する友人の一人であり、私と女房の仲人でもある私の師匠だ。
宮本プロは昭和14年7月生まれの77歳。龍ヶ崎カントリー俱楽部で最初にプロテストに合格したプロで、昭和33年に龍ヶ崎が開場して以来、初代プロ=井川栄造の下で修行を積み、30歳のときにプロテストに合格した苦労人でもある。
そんな宮本プロを師匠に持った私の修行時代は、毎日のプロ室の掃除から始まり、師匠のクラブ磨きから靴磨き、洗車などは当たり前。マスター室業務と練習場の球拾いやキャディを熟すなか、それらの作業&業務の合間を縫って「練習させて貰う」というのが日常だった。
運転免許とマイカーはプロテストになるまでは御預けだったから、買い物や散髪などには全て自転車を漕ぐ。公然と練習できる日は、キャディにあぶれてしまう雨の日だけだったので、「長靴を履いて練習する研修生」と、他の社員にからかわれたものだ。なにしろ車を持っていないから、ゴルフ場が終わった後に近隣の練習場に行きたくとも行けない。そんな私に宮本プロは「朝、明るくなるのを待ってラウンドすればいい。夜、月明かりでも素振りが出来る。俺に黙って近所の練習場になんか行ったら必ず破門にする」と、とにかく自分で時間を作り龍ヶ崎カントリー俱楽部内で練習をしろ、と厳しかった。
プロ室の掃除や、自分のクラブの掃除、靴磨きなどを怠れば、私のクラブセットはゴミ捨て場に捨てられた。会社の業務が忙しいなどという言い訳は全く通じない師匠だった。

そういう師匠の御陰で自分の時間を作ることが上手になった私は、今でも、どんなに忙しい最中にあっても、定期的に宮本プロと一緒にラウンドをしたり、一緒に酒を飲んでは話をしたりする。
最近の酔っぱらった我が師匠は、度々「お前はゴルフは下手だったが根性だけは天下一品だった」と口にし、お前と出会えたことを神様に感謝している風のことまで口にするようになった。
歳だなぁ、プロも・・・(笑)
龍ヶ崎カントリー倶楽部でプロテストに合格したのは、宮本プロと私の二人だけ。師匠と私の『龍ヶ崎プロ会』は、きっと、どちらかが死んでしまうまで続くのだろう。

宮本プロ、いつまでも元気で長生きして下さいね。

 

 

子供達への教え

つい先日、車座になって子供達と話をした。
子供達といっても、もう24歳、22歳、20歳、18歳という年齢だから、4人の我が子は殆ど成人の域にある。

私は子供達を教育するにあたり、彼らが小さい頃から、『人として守るべきこと』という点に重きを置いて、本当に幾度となく同じ話をし続けて来た。もはや彼らにとっては耳にタコの話かもしれないが、とは言え、こういった話は何度聞いても聞き足りるということはないのかもしれない。何故なら、それは、いつだって弱い自分にたいする戒めともなるからだ。

今回は「お金」の話である。
お金は、確りとしたモラルを持たないものが多く持ったとき、お金そのものは、その人間の人生を決して豊かにはしてくれない。
お金は、ある意味、非常に危険なものでもある。分を過ぎた金銭を得て、人生を台無しにした人だってあるはずだ。ギャンブルで得たアブク銭は身に付かないし、親から与えられたり、誰かから盗んだ金銭も決して自分を幸せにはしてくれない。
そこで「お金=幸せ」にする方法の話をしたわけだ。それは、「お金を得るために仕事をする」=一方的に「与えて貰おう」とするのではなく「仕事を確りと熟すことで、お金を得る」=「与えることで報酬を得る」という考え方を持つことだと。
それは、こういう言い方も出来るかもしれない・・・「仕事から多くのことを学ぶことで、お金を得る」とも。

中身をある仕事をする人間は、お金を得るためだけに仕事をしてはいない。一方的に「与えて貰おう」とする人間は、夫婦関係だって悪くするし、親子関係だって悪くする。本当の友達だっていない。
人間性の問題であるから、万事同じなのである。

 

 

フィッティングについて

スウィングがある程度かたまってきたら、やはりクラブフィッティングをして、自分に合ったクラブを揃えたいものである。
アマチュアの方の多くは、「プロでもあるまいしフィッティングなんて必要ない」なんて仰る方が多いが、それは大きな誤解である。
寧ろ、練習量に制限のあるアマチュアの方にこそ、クラブフィッティングは重要だ。

プロゴルファーの場合、そもそもゴルフを職業にしているということから、多少自分に合っていないクラブでも、その練習量の豊富さと自己の持つスウィング知識を駆使することで、多少苦しむことはあっても、自分に合っていないクラブを使いこなすことが出来るようになるかもしれない。しかしアマチュアの方に、そんなことが可能かと言えば、答えはNOだからだ。

厳密に言えば、ドライバー、フェアウェイウッド、アイアン、ウェッジは全て別物の道具である。御承知のように、長さも違えば重さも違う。長さが違えばライ角も変わり、重さはシャフトの重さが違うだけで恐ろしいほどの違いが現れる。
だとすれば、なるべく同じ感覚で振れるようにセッティングしておくことも重要な筈だ。

例えて言おう。300Yを軽く飛ばす松山英樹のドライバーを貴殿が使えば、飛ばすどころか、まともに打つことさえ困難になってしまうだろう。これは断言できること。松山英樹のクラブセットで、貴殿がいくら練習しても決して上手にはなれないのだ。逆に松山英樹が女性用やシニア用のクラブセットを使えば、世界で活躍するどころか、ろくなスコアも出すことが出来なくなってしまうだろう。

言わば上手になる為に、クラブフィッティングは有るのである。

 

 

シングルプレーヤーの悩み

「シングルプレーヤーなのに30台のスコアが出せない」

ことに、片手ハンデ(ハンディキャップ5以下)を取得しているにも関わらず、よほど簡単なコースにでも行かない限りハーフラウンドのスコアで30台のスコアが出せないというシングルプレーヤーにとって、これは一種、切実な悩みだと言えるだろう。
確かに、ある時期、ある数ラウンドでは、ちゃんと30台のスコアを並べられたのだ。周囲のアベレージプレーヤーからは、本来まるでプロゴルファーの如く映るハンデ5以下(片手シングル)のゴルファーにも関わらず、自己分析をすれば、自分は明らかにハンデ10以下のゴルファーなのである。

「何年も前に取ったハンデだから」

これが、上記の悩みを抱えているシングルプレーヤーの大方の弁だ。言い訳にも聞こえるが、決してそうではない。本人は、ラウンド毎に誰よりも傷付き、傷心のなか、ゴルフ場からの帰りの車のなかや翌日に会社に通勤する車内で、悶絶の自問自答を繰り返す。
取引先のコンペで、ドライバーは曲がるわ飛ばないわ、アイアンはダフりばかり、ウェッジでもグリーンを外す有様で、頼みの綱のパッティングでも1mの距離を3回も外してしまえば、グロスで90を切れずネットも90ストローク。ラウンドするのが初めてのハンデ36の初心者にさえ負けてしまい、周囲の眼が「(昔は上手かった人らしいよ)」と言っているように見えてしまう・・・パーティの席で平静を保つのが困難極まりなかったのは、つい先日のことだ。

「もう誰にも相談できない」

これが、上記の悩みを抱えているシングルプレーヤーの心の声だ。
昔のアマチュア仲間には散々アドバイスを貰ったが、この状態は一向に改善されない。近所の練習場のインストラクターに相談したら、もともとシングルプレーヤーであることを信じてもくれない。
結局、誰にも相談できなくなってしまった。。。

しかし、である。そんな気持ちを分かってくれるゴルファーは必ず存在する。悩みを独りで抱え込まないことは、ゴルフというスポーツにとって有意義なことなのである。